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よくあるご質問:スタイラスについて

Q. 先端球のグレードは?

A. グレード3からグレード5に相当します。

精密測定用のスタイラスに使用される先端球は、形状誤差(真球度)、直径誤差、表面粗さが 十分に小さいことが必要条件です。ISOやDINには球に関する精度表示の規格があり、itpではグレード3から5に相当する 高品質な球を使用しています。

形状誤差とは、最小外接球の中心に対する最大半径と最小半径の差になります。直径誤差とは、 ひとつの球を何ヶ所か測定した最大直径と最小直径の差になります。

  形状誤差(μm) 直径誤差(μm) 表面粗さRa(μm)
itpの先端球 0.08-0.13 0.08-0.13 0.007-0.008
グレード3 0.08 0.08 0.010
グレード5 0.13 0.13 0.014
グレード10 0.25 0.25 0.020

※JISでは B1501-01 に軸受用鋼球に関する規格があり、表面粗さが等級3で0.012、5で0.020、10で0.025と なるほかは同じです。

Q. 「互換品」というのは?

A. メーカー製品と寸法の互換性があるということです。

各測定機メーカー、プローブセンサーメーカーでは独自の仕様、規格でスタイラスを製造しています。

itpではOEMメーカーとしての実績と経験を生かして、各社の仕様に適合する同一寸法の製品を 製造しております。細部の仕様が違う場合がありますが、測定に差し支えるものではありません。

Q. カタログにあるメーカー以外の機種でも使えますか?

A. ねじ径やプローブセンサーのタイプが同じであれば使えます。

ほとんどの測定機メーカーではM2/M3/M4/M5/M6/M8の並目ネジを使って取り付けるようになっています。 またプローブセンサーも自社開発でなければレニショー製のものを使っている場合がほとんどです。

現在お使いの測定機のメーカー名や機種名でお問い合わせいただければ、使用可能かどうか お調べいたします。このサイトのメーカー型番検索でもメーカー品番から該当itp製品を 検索することができますのでお試しください。

Q. なぜ同一寸法で材質の違う製品があるのですか?

A. 用途に応じて最適な材質を選択する必要があるためです。

例えば長いスタイラスを使って深穴を測定したい場合、超硬合金のシャフトでは重くなって しまってタッチトリガタイプのプローブセンサでは測定できないことがあります。軽いセラミックやカーボンファイバーを シャフトに使用することで測定できるようになります。

また、測定室温が不安定な現場環境で大型のワークを測定する場合、通常のアルミニウム製 エクステンションでは温度変化によって長さが変わってしまうため測定結果が変わってしまいます。サーモフィット・ カーボンファイバー製のエクステンションであれば温度変化に強く、剛性も高いためしなりによる数値のばらつきも 少なくて済みます。

あるいはルビー球のスタイラスで、加工テストに使うような生アルミのワークを スキャニング測定すると、アルミがルビーに反応してべったりと球表面に付いてしまうことがあります。

これは「凝着磨耗」といってアルミがルビーと化学的に結合しやすいために起きるものです。 シリコンニトライド(窒化珪素)球は凝着磨耗が発生しにくいので、このようなアルミワーク用に適しています。

ところがルビーやセラミック、シリコンニトライドは鋳鉄のような硬いワークを スキャニングすると、短時間で磨耗してしまう場合があります。この場合は磨耗しにくいジルコニア球が適しています。

このように測定する条件によって材質も含めたスタイラスの選択が必要になります。

Q. スタイラスを落としてしまいましたが大丈夫ですか?

A. 衝突や落下などで強い衝撃が加わったものは精度保証できなくなります。

床や測定定盤のような硬いものの上に落とした場合、あるいは自動測定中にワークに 干渉するなどしてプロービング速度以上の速度でぶつけてしまったような場合、スタイラスに目に見えないダメージを与えている 可能性があります。

先端球のルビーはサファイアと同等の硬さですが、非常にもろいため当たった箇所が小さく欠ける 場合があります。先端球とシャフト、シャフトとベースといったパーツ間の接着や溶接がはずれてしまう場合もあります。

これらは目視では分からないため、通常はキャリブレーション時の結果を見て判断します。偏差が大きいなど異常が 認められる場合は新品のスタイラスと結果を比較するなどして、早めに廃棄・交換すべきです。

Q. スタイラスの耐久年数、交換時期はありますか?

A. 使用条件にもよりますが、定期的に精度検査をしましょう。

見た目はきれいで全く使っていないようなものでも、測定室の環境によってはある程度の年数が経つと接着剤が劣化して 接着箇所がぐらついているというケースがあります。長く使っていないものは精度検査した方がいいでしょう。

開封したばかりの新品でしたが、アルミワークをスキャニングしたため凝着磨耗を起こし形状誤差が 悪くなったため使えなくなってしまった、というケースもあります。

もちろん、保管や使用方法を徹底的に管理しているため、測定機と一緒についてきたものを十年 以上使っている、というケースもあります。測定結果に異常がなければ、劣化や損傷があったとしても問題がない程度、 と考えられます。しかし油断はできません。

傷や汚れなど、気が付かないうちについてしまっているものです。リングゲージや校正球を 多点測定するなどで簡単に見つけることができますから、定期的に確認するといいでしょう。ドイツの某自動車メーカーでは3年で全交換することにしている企業もあります。

Q. スタイラスの貸し出しは行っていますか?

A. スタイラスは消耗品ですので貸し出しは行っておりません。

どの程度使えば消耗するかは使用条件にもよりますが、傷ついたり磨耗したりした場合廃棄するしかありません。試用を前提とした貸し出しは行っておりません。